『田所トメ子の事件簿〜おかずと犯人は冷めないうちに』〜 第2話


 

登場人物

田所トメ子(40代前半・主婦探偵)
冷静沈着で観察眼鋭い。フライパン片手に推理し、揚げ物にこだわる。

小暮刑事(30代前半・警察官)
真面目で几帳面。現場の手順を重んじ、トメ子の良き相棒。

女将・金子かよ(60代・惣菜屋店主)
厳格な職人気質。商店街の揚げ物文化を守る存在。

灰田(40代・料理研究家)
理知的で冷静。味とレシピに精通。

久住(20代・自称マヨラー)
明るく天然。マヨネーズ愛が強く個性的。

(中学生・自称シェフ)
熱血で純粋。料理に情熱を燃やす。



2話「マヨラーの影」


オープニング

映像: 前回のダイジェスト(倒れる女将、謎のとんかつ、トメ子の推理)

ナレーション(重々しく):

「秘伝のレシピ帳を狙うのは誰か。残された痕跡は、白き調味料――マヨネーズ」


シーン1:現場の発見

場所: カネコ食堂 台所

(小暮刑事が鑑識とともに現場を調査している。壁や調理台の端にマヨネーズの痕跡)

小暮刑事:

……これは? 調味料の痕跡か?」

(鑑識が小さくうなずく)

(トメ子、手袋をはめて痕跡を指で確認する)

トメ子:

「ええ、間違いないわ。マヨネーズね。しかも、この粘度……市販のものじゃない」

小暮刑事:

「市販じゃない? じゃあ……」

トメ子:

「自分で配合した、こだわりのマヨよ。つまり犯人は……」

BGM強調、久住の顔カットイン)


シーン2:容疑者・久住の取り調べ

場所: 警察署の取調室

(久住、リュックを抱えて座っている。中からチューブのマヨがはみ出ている)

小暮刑事(厳しく):

「久住さん。現場にマヨネーズの痕跡が残されていた」

久住(慌てて):

「ち、違うッス! オレはただ……揚げ物にマヨをかけてただけで!」

トメ子(冷静に):

“ただ”……? 女将の店に忍び込んでまで?」

(久住、視線を逸らす)

久住(小声で):

「女将のとんかつ……マヨと合わせたら最高って噂で……一度だけ味わってみたくて」

小暮刑事(苛立ち気味に):

「だからって勝手に忍び込む理由にはならない!」

トメ子:

「でも、彼のリュックに入っているのは……」

(トメ子がチューブを手に取り、かすかに振る)

トメ子:

「全部、空よ。マヨを持ち帰る余裕なんてなかった」

(久住、泣きそうな顔でうなずく)


シーン3:マヨラーのアリバイ

場所: 久住の自宅

(トメ子と小暮が部屋を調べる。机の上にパソコンと録画機材)

小暮刑事:

「これは……動画配信?」

(画面には「マヨネーズ品評会」と題したライブ配信の記録。事件当時の時間が映っている)

トメ子(小さくため息):

……生放送で視聴者とやり取りしていた。つまりアリバイがあるわ」

小暮刑事:

……となると、また振り出しか」


シーン4:次なる影

場所: 商店街の路地裏

(トメ子が歩いていると、中学生シェフ・俊がこちらをにらむ)

俊(激情気味に):

「あんたら、女将を守れなかったくせに……!」

トメ子:

「俊くん……?」

俊(震える声で):

「僕は……あの人に認めてもらうために料理をしてきたんだ! でも今じゃ何も教えてもらえない!」

(トメ子、俊の目に強い執着を感じ取る)

トメ子(心の声):

……揚げ物の情熱。それは時に、凶器にもなる」


シーン5:エンディング

場所: 夜の商店街

(トメ子と小暮が並んで歩く)

小暮刑事:

「結局、マヨネーズの影はただの偶然か……」

トメ子(静かに首を振る):

「いいえ。味に残る記憶は、決して偶然じゃない。必ず真実へと導く」

(トメ子、街灯に照らされながら振り返る)

ナレーション(重々しく):

「次なる容疑者は、中学生シェフ。揚げ油の温度が暴くのは、憧れか、それとも――狂気か」

BGM高鳴り、俊の不敵な笑顔がアップで暗転)


 


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