『田所トメ子の事件簿〜おかずと犯人は冷めないうちに』〜 第5話・最終話



登場人物

田所トメ子40代前半・主婦探偵)
冷静沈着で観察眼鋭い。フライパン片手に推理し、揚げ物にこだわる。

小暮刑事30代前半・警察官)
真面目で几帳面。現場の手順を重んじ、トメ子の良き相棒。

女将・金子かよ60代・惣菜屋店主)
厳格な職人気質。商店街の揚げ物文化を守る存在。

灰田40代・料理研究家)
理知的で冷静。味とレシピに精通。

久住20代・自称マヨラー)
明るく天然。マヨネーズ愛が強く個性的。

(中学生・自称シェフ)
熱血で純粋。料理に情熱を燃やす。


5話「揚げ物は正義よ」


オープニング

映像: 4話までのダイジェスト(俊の訴え、女将の言葉、鑑識テープ、小暮の焦げ跡)

ナレーション(重々しく):

「最後に残されたのは、一枚の衣とひとつの影。――真実は、もう隠せない」


シーン1:俊の再会

場所: 商店街の片隅

(俊がトメ子に駆け寄る。顔はまだ不安げ)

俊(涙ぐみながら):

「僕、疑われたまま終わるのは嫌です。どうか、本当の犯人を……!」

トメ子(優しく):

「ええ。心配しなくていい。真実はもう……揚げ色がつき始めてる」

(俊の目が見開かれる。トメ子は決意を胸に歩き出す)


シーン2:真相の場へ

場所: カネコ食堂 台所(夜)

(トメ子が一人で台所を調べている。静寂の中、床に残る微かな油染みを発見)

トメ子(独り言):

「揚げ直した形跡……でも、女将は意識を失っていた。つまり、揚げ直したのは別の人物」

(その時、背後でドアが軋む音。小暮刑事が立っている)

小暮刑事(無表情で):

……遅い時間ですね」

(トメ子がゆっくりと振り返る)


シーン3:暴かれる真実

トメ子(真っ直ぐに):

「犯人は、あなただったのね。小暮刑事」

(小暮、一瞬驚いた顔を見せ、すぐに薄笑いに変える)

小暮刑事:

「やっぱり……あなたには隠せませんでしたか」

トメ子:

「鑑識テープは警察にしか扱えない。女将の“料理人じゃない”という言葉……そして、あなたの手の焦げ跡」

小暮刑事(口元を歪めて):

「完敗ですね」


シーン4:動機の吐露

(小暮、急に声を荒げる)

小暮刑事:

「俺はな……ずっと夢見てたんだ!
カレーに、最高のカツを乗せることを!」

トメ子(絶句):

……は?」

小暮刑事(熱弁しながら涙ぐむ):

「普通のカツじゃ駄目だ! ルーを吸えば衣は台無し……!
でも“黄金衣”なら、最後の一口までサックサクなんだ!
夢のカツカレー……それを、この手で作りたかった……!」

(その場にいた俊と女将(付き添いで登場)が目を丸くする)

俊(呆然と):

……そんな理由で……?」


シーン5:対決

(小暮が引き出しからレシピ帳を取り出し、抱きしめる)

小暮刑事(叫ぶ):

「これは俺の夢だ! 誰にも渡さない!」

(トメ子、ゆっくりとフライパンを構える)

トメ子(静かに):

「その夢のために、人を傷つけたの? 女将の命を奪いかけたのよ」

(沈黙ののち、トメ子の声が強まる)

トメ子:

「揚げ物は……正義よ!」

(決めゼリフ。フライパンを振りかざし、小暮の手からレシピ帳を弾き飛ばす)

(警察隊が突入。小暮、涙を流しながら連行される)


シーン6:余韻

場所: 商店街・翌朝

(女将が俊に微笑む)

女将:

「あんたの情熱は、私がちゃんと見ていたよ。これからも胸を張って料理をしなさい」

(俊が涙を拭き、強くうなずく)


シーン7:エピローグ

場所: トメ子の自宅・食卓

(家族が笑顔で揚げたてのとんかつを頬張る。トメ子は満足げにそれを見守る)

トメ子(心の声):

「味の記憶は嘘をつかない。だからこそ――揚げ物は正義なの」

ナレーション:

「こうして事件は終わった。だが、主婦探偵・田所トメ子の戦いは続く――次の油が温まる、その日まで」

(エンドロール。自転車で商店街を走るトメ子の姿)


 


次回予告(園芸編)

映像: 深夜の庭園。満月の下で、一輪の花が無惨に引き抜かれている。

ナレーション(重々しく):
「次回――“町内一のバラとともに殺害された園芸クラブ会長。
 花壇に残された土の匂いが、隠された悪意を語り出す……

映像:

倒れたプランター。

泥にまみれた軍手。

しゃがみ込む老人会メンバー。

不自然に枯れた一角のバラ。

田所トメ子(土を指先でこすりながら):
……この鉢、誰かが植え替えているわね」

ナレーション:
花の記憶が導く、庭先の闇。
 主婦探偵・田所トメ子が、シャベル片手に真相を掘り起こす!」

映像: トメ子が園芸用の帽子をかぶり、夕日に向かって振り返る。

田所トメ子(キメ顔):
「花壇は……正義よ!」

 

乞うご期待!


 

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